【レビュー】Noel | Cornet revu – こだわりの国産ハンドメイド・ファズ

2014-09-11 (木)

Noel Cornet Revu

こだわり抜いたハンドメイド・ファズ

ハンドメイドエフェクターブランドNoel。
こだわりのファズ“Cornet revu”をレビューします。
まずは今回制作したデモ動画をご覧ください！

Noel | Cornet revu [Fuzz]

Cinematography by: Yusuke Maehara
Directed by: cloudchair
Supported by: MUSICLAND KEY

CornetはNoelとしてブランドをスタートした2011年より製作しているファズペダルです。
そしてrevuはCornetのコンセプト・サウンドをそのままに、新たにジンクダイキャストやタレットボードなどの要素を追加し、再構築したペダルとなっています。

CornetはBigMuffタイプのファズとなっており、生産時期によって様々あるタイプの中からロシア製の時期の物をベースとして作られています。

サウンドに関してはヴィンテージの再現というものとは異なっておりBigMuff特有のミッドレンジカットや、多段でのクリップによるピッキングやギターヴォリュームへの反応性、などのポイントに着目し、実際にアンサンブルの中で使用する状況を想定し積極的にモディファイを施しています。
そんな中ロシア製の特徴である、ローエンドの強い押し出し、またこのタイプのファミリーの中でも比較的低めに設定されているゲインレベルといったポイントはそのまま変更する事無くチューニングをしています。
又、サウンドの特徴は基盤を用いて製作されるのが一般的なのですが、Cornetではほぼ基盤を使用せずターミナルラグという端子を使用し製作しています。
revuではターミナルラグの代わりにアンプなどで使用されるタレットボードを採用し、コンポーネント一つ一つを丁寧に端子へと接続しています。

Cornet revuは徹底的にハンドメイドを追求した構造となっています。

デモの設定とレビュー

上記デモ動画での設定を紹介しながらレビューを進めていきます。
ギターはdragonfly HI STA CUSTOM SSH。
美しい青と杢目、そして弾きやすさが魅力のこのギターを、特別にミュージックランドKEYのご好意で使わせていただきました。
アンプはFender Twin Reverbです。

Basic Setting

Volume: 12 (時方向)
Gain: 12
Tone: 12

まずは各ツマミをセンターにした設定です。
踏んだ瞬間に音のキャラクターが変わる、この感じは正にビッグマフ的です。
図太く荒々しい、爽快感すら受ける歪みです。
とにかく歪みの粒が気持ちいいです。

ファズらしくささくれだった質感を持ちつつも、どこか品を感じる歪みです。
作りのこだわりや丁寧さがその品に通じているような気がしてきます。

Edgy Rhythm

Volume: 2
Gain: 3
Tone: 3

GainとToneを3時に上げました。
基本的なキャラクターは先程とあまり変わらず、よりエッジが強調される感じです。
各パラメーターはそれぞれスムーズに可変するので、微調整がしやすいです。

Smooth Lead

Volume: 5
Gain: 3.5
Tone: 7

Toneを絞り切ったファットでスムースなトーンです。
サステインがよく伸びるので単音のロングトーンによく合います。
そして速いフレーズも潰れず滑らかに聴こえます。

Distorted Chord

Volume: 3
Gain: 2
Tone: 4

ギター・ボリュームへの反応と、コードを鳴らした時の分離感をチェックしています。
ここではブリッジ・ピックアップをコイルタップしてシングルコイルとして使っています。
冒頭ではギター・ボリュームを3程度に下げていて、途中からボリュームをフルアップしています。
手元の操作だけで、かなりクリーンな響きまで歪みを落とす事が出来ます。
この、ボリュームを落とした時のクリーントーンがちゃんと使える音色になっています。

ボリュームを上げてからの音の派手さはお聴きの通りです。
倍音をたっぷり含んでいて、実際に弾いている音とはまた別の音が聴こえてくる感じもあります。
ノイズやシューゲイザー的な要素も十分持っていると言えるでしょう。

ここまで歪ませると、シングルコイル・ピックアップじゃないとアルペジオの分離感は出にくいかも知れません。
それだけ音圧があるという事なので、逆に言えば音の壁を簡単に演出出来ます。

Cryin’ Lead (with Wah)

Volume: 2
Gain: 3
Tone: 3

ワウペダルと組み合わせてリードを弾いてみました。
サステインが伸びるので、ベンドとアーミングを混じえたプレイに気持ちよくハマリます。
泣きのトーンもばっちりで、演奏も熱くなりました。

ここで使ったワウはギターと同様にミュージックランドKEYから使わせていただいたShin’s Music Delicious Vintage Wahです。

Fuzzy & Heavy

Volume: 2
Gain: 5
Tone: 5

GainとToneを最大にしました。
重々しくひきずるような質感です。
パワーコードのリフが重厚に響きます。

リードもつい激しく弾きたくなるトーンです。
これはかなりテンション上がる設定ですね。
Gainがフルでも音が潰れにくいので速いフレーズにも追従してきます。

総評

ロシア製Big Muff特有のディストーション的な質感やローエンドの強さを引き継ぎながらも、さらに丁寧に磨き上げられた上質なエフェクターに仕上がっています。
音のキャラクターを一変させる強い個性を持っていますが、弾き手の個性もまた如実に反映されます。
丁寧に弾けばスムーズなトーンも出せますし、勿論ラフに弾けば荒々しさが強調されるペダルです。
タッチへの反応性が高く、弾き応えのあるファズだと思います。

内部構造の芸術的な美しさも相まって、実に所有欲を満たしてくれるアイテムだと思います。
個人のハンドメイドという事で生産数が少なく入手しやすいとは言えませんが、是非実際に音を出してみて欲しいエフェクターです。