Studio Daydream “Dhyana”【幻のダンブル系名機を徹底解析・完全再現したOD】

  • 2020-11-25 (水)

伝説的ペダルのトーンに肉迫

岡山のエフェクター工房Studio Daydreamのペダル”Dhyana”を紹介します。
「ダンブルアンプサウンドを再現した幻の名機を徹底解析、完全再現しました。」(公式ページより)というオーヴァードライヴです。その幻の名機とはSmoky Signal Audio “Tubeless a tuning”の事で、知る人ぞ知る非常に希少なペダルです。私は昨年その”Tubeless a tuning”を弾く機会があったのですが、独特なトーンがとても印象的でした。さてこの”Dhyana”はどこまで”Tubeless”に迫っているのでしょうか?

今回”Dhyana”の公式動画を制作しました。Studio Daydreamには海外から、特にJohn Mayerファンからの問い合わせが多かったとの事で、その辺りのリクエストを意識したトーンやフレーズにしてみました。まずはこの動画で音を確認してみてくださいませ。

Studio Daydream “Dhyana”【幻のダンブル系名機を徹底解析・完全再現したOD】

使用機材
ギター
FGN NST200
FGN NSG100
ギター・アンプ
Kemper Profiler :(使用モデル:Fender Deluxe Reverb)
ケーブル・電源類
オヤイデ

レビュー

ダンブル系と称されるペダルの特徴として「歪みの質感がアンプ的」「反応性が高い」「中低域が豊か」などの点が挙げられると思います。”Dhyana”もまたそれらの要素を内包しています。そして”Dhyana”に搭載されている”A.M.C.”という独特のコントロールが気になる所でしょう。これは”Dhyana”の基となった”Tubeless”が備えているコントロールで”Amplifier Matching Control”を略したようです。詳しくは後述しますが主に歪みの質感を調整するものです。”Tubeless a tuning”は特にシングルコイルに合うペダルとの事なので、それに倣い動画ではシングルコイルをメインに使用しました。では動画を題材に検証していきましょう。

Mellow Drive(演奏時間:0:04~0:52)

まずは歪みの肝となる”Gain”と”A.M.C.”を各12時方向にした設定です。豊かな中低域のおかげでかなり太めのトーンを持っているのでここでは”Tone”を15時にして少し明るめにしています。ダンブル・アンプの代表的なユーザーとしてRobben Fordが挙げられる事が多いですが、彼のトーンに対して「歪んでいるのにクリーン」という表現が良く使われます。私の解釈としては「ゲインが増幅されて音圧やサステインが増している割に音の濁りが少ない」と捉えています。ここでの”Dhyana”のトーンはゲインがそこそこ上がっているのに歪み感が少なく、正に「歪んでいるのにクリーン」という印象を受けます。そしてメロウという言葉がぴったりの甘いトーンです。

Clean Boost(演奏時間:0:53~1:17)

次に”Gain”と”A.M.C.”を低めにしてクリーン・ブースター的に使ってみました。先程の設定より更に甘いクリーン・トーンが得られます。指先の細かいニュアンスが活きるので、指弾きで強弱大きめに弾きたくなる音色です。

Crunch Rhythm / Bold Lead(演奏時間:1:18~2:08)

”Gain”と”A.M.C.”を少し高めに設定しました。まずはギターのヴォリュームを7、ピックアップをブリッヂ側にして弾いています。アンプ的なナチュラルな質感の音色で軽めのクランチといった歪み具合です。途中からギター・ヴォリュームを9に上げピックアップをネック側にしました。手元の操作と弾き方の違いが如実に反映され、リード向きのファットなトーンに変化します。この中域が太くサステインが長いながらもアタックが埋もれず細かいフレーズが聴き取れるトーンは、私が”Tubeless”から受けた印象に特に近いです。John Mayerのリード・トーンに通ずる雰囲気を醸し出していると思います。

Controls(演奏時間:2:09~2:41)

各ノブを動かしながら効き具合を確かめてみました。まず”Gain”と”A.M.C.”が最小で”Tone”最大にするとバイパス時とほぼ同じトーンです。”Gain”と”A.M.C.”による歪み感の変化は独特で、これは実際に弾きながら動かしてみないとその効果を把握しずらいかも知れません。”A.M.C.”で歪み量の大枠を決め”Gain”で微調整し”Tone”で明るさを調節する、という感覚で音作りすると良いでしょう。

Crunch for Humbucker(演奏時間:2:42~3:13)

ここまで全てシングルコイル・ピックアップで弾いてきましたが、ハムバッカーとの組み合わせも試してみましょう。バイパス時と比べると中低域がふくよかになって音圧が増すのが分かります。アタックの質感は変わらず音の芯には手を加えない印象を受けます。粘りがありつつ歯切れ良さもありオーヴァードライヴの王道的な要素も多分に感じます。

Creamy Drive(演奏時間:3:14~3:30)

”Tone”を絞った設定でハムバッカーと合わせてみました。意外とこもった感じにはならず甘くも軽やかなトーンです。ここでも「歪んでいるのにクリーン」な印象を受けます。そしてハムバッカーとの相性も問題ない事が分かりました。

Hot Drive(演奏時間:3:31~3:47)

最後に”A.M.C.”を最大にしてみました。倍音が際立ちギラつき感が出てくるので”Tone”を少し抑えてエッヂを落ち着かせています。ゲインは増していますが激しい歪みではなく程良い飽和感を持ったトーンです。中域や倍音成分が凝縮した密度の高い音色もまた”Tubeless”を思わせるものです。


ダンブル系の特徴的な要素を高次元でカヴァーしたペダルだと思います。クリーンからリードまで対応する歪み幅と高い反応性を誇るオーヴァードライヴです。例え事前情報や先入観なしに触れたとしても、音を出せばこのペダルの方向性はすぐに感じ取れるでしょう。それこそJohn MayerRobben Fordが好きな方に特にアピールするモデルだと思います。

ダンブル・アンプは勿論の事ながら”Tubeless”も中々お目にかかれない、お宝と言って良いアイテムです。まずはその音を再現し流通させるという気概を評価したいです。”Tubeless”の内部はキューブという特殊な形状で回路が封じ込められています。この形状が音へもたらす影響も重要という事でしょうか、”Dhyana”はそのキューブ構造も再現しています。公式ウェブサイトなどでは触れられていないのですが凄い拘りだと思います。筐体はStudio Daydream独自の形状で加工精度の高さや上質なブランド・イメージを感じさせます。

Studio Daydream製品全般に言える事ですが、非常にクオリティの高い製品ながら価格が抑えられているのも大きなポイントです。ハンドメイドという事も考慮するとかなりリーズナブルな価格設定だと思います。今後は海外へもアプローチしていくとの事で(今回の動画公開と同じタイミングでグローバル・サイトがオープンされました)、品薄になる可能性もあるかも知れませんね。気になった方はお早めにチェックしてみてください。


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