4. 扉

━ 少年の夢がいまそこに ━

「ママ、ぼく忍法やってみたいんだ」

…あなたに10歳の息子がいたとして
その彼に上記のような事を言われたら
あなたなら何と答えるでしょうか?
あなたの母親なら何と言うでしょうか?
「そんな事より勉強しなさい」
ええ、多分その答えは正論だと思います。
しかし私の母の答えはこうでした。

「忍法? あら、いいわね。 うふふ」

うふふって。 母は偉大な存在です。
まぁ母の話はまたいつか書くとして。
とにかく購入してしまったわけですよ、アレを。
届くまでの数日間、私の妄想は膨らむ一方でございました。

「忍者かぁ。
何の術からおぼえようかなぁ。
学校で使えるかなぁ。
体育の授業で使っちゃったりして。
みんなびっくりしちゃったりして。
そんで、学校では忍法禁止とか言われちゃったりして!」

口を半開きにしたまま妄想に耽る少年の数日間。
それは正に夢見心地という心境であった事でしょう。
そしてその目を覚ます衝撃がやってきたのです。
学校から帰ると小さな段ボール箱が届いていた。

来た! ついに来た!
期待に胸を膨らませ、その包みを開ける少年。
かつて感じた事のない興奮で、少年の心はいっぱいです。

そして!

『 忍 法 講 座 』 
わーい!!!!

包みの中にはA4サイズのテキストが4冊入っていました。
それぞれに名前がつけられています。
「 火 ・ 水 ・ 土 ・ 風 」
赤・青・茶・緑に色分けされたテキスト。
なんとか呼吸を落ち着かせてそのページを開く私。
最初に、忍術の心得などが書かれた章。
興奮していた私が、その内容をどれ程理解していたのかはわかりません。

そして 遂に 忍法の第一歩が書かれた章へ。

Return to page top