1995fx “Clarity”【独自コントロール搭載オーバードライブ】

  • 2021-04-21 (水)

ブランドの個性と汎用性が共存した一台

札幌のエフェクターブランド1995fxの歪みペダル“Clarity”を紹介します。
1995fxのペダルはサビ塗装と大きなノブが印象的ですが、今回の”Clarity”はそれに加えモデル名がプリントされブランド・ロゴがプレートになるという外観面でのアップデートが施されています。このルックスからどんな音が出てくるのでしょうか?まずは今回制作した動画をご覧ください。

1995fx | Clarity 試奏動画

使用機材
ギター
APⅡ MAF-8120GP
Ibanez Talman TC825
ギター・アンプ
Kemper Profiler :(使用モデル:Fender Deluxe Reverb)
ケーブル類
オヤイデ
ベース用プリアンプ
1995fx Stomach ache

本製品は広いゲイン幅を持っており、ローゲインから深い歪みまで様々なシチュエーションに対応しています。最大の特徴はClarityノブとなっており、センターポジションを基本とし、高域の調整を行うことによりサウンドバリエーションを豊富に持たせています。また本製品は18Vまで対応しており、電圧が高い方が歯切れのいいサウンドとなっているので9〜18Vでお好きな電圧をお試しください。

公式ページより

レビュー

コントロール類

Volume(左上)
エフェクト時の音量を調整します。
Gain(右上)
歪み具合を調整します。
Filter(左下)
左に回していくと高域をカットします。
Clarity(右下)
センターポジションを基本とし、高域のきらびやかさを調整します。

それでは動画での設定を解説していきましょう。

バイパス〜基本的設定 [演奏箇所:0:27~1:14]

まずは全てのノブを12時方向にした所からそれぞれを少しずつ動かして、私の好みのトーンにした設定です。”Gain”は10時、”Filter”, “Clarity”, “Volume”はそれぞれ14時です。コードの分離感を損なわないクランチ程度の歪みです。トランスペアレント系の歪みで感じられるような弦の金属的な響きは正に”Clarity”(明瞭)というネーミングに相応しいと思います。歪みの質感は粒が粗めでざらつきが際立って感じられ、外観の印象とマッチしています。

ゲイン最小でのブースト [1:15~1:36]

“Gain”を最小にしたロー・ゲイン・ブースター的設定です。完全なクリーンではなく若干サチュレーションが乗っていて「歪み」というよりは「汚し」的な味付けをしてくれます。ファズ・フェイス系ペダルで得られるような鈴鳴りに近い質感もあり、クリーン・トーンを引き立たせる用途で使えます。

Clarity: 最小 [1:37~1:56]

“Clarity”ノブを最小にした設定です。このノブの効き方が独特で、倍音成分を増減するような効果を感じます。このように下げた場合では音のざらつきがスムーズに慣らされ、やわらかい質感になります。下げ切ってもこもった感じにならないのが、一般的なトーン・ノブと異なる所です。

Clarity: 最大 [1:57~2:19]

続いて”Clarity”ノブを最大にしてみました。音のきらびやかさが増して派手な印象のトーンになります。この耳に痛いポイントぎりぎりくらいに効く感じがバンド・アンサンブルで活きてきそうで、プレイヤー的なセンスを感じます。倍音が多く感じられる分、歪み感も強くなるので”Gain”と合わせて調整するのが良いでしょう。

各コントロール [2:20~3:03]

各ノブの効き方を探ってみました。”Gain”はほぼクリーンからハイ・ゲイン寄りな深い歪みまで対応します。歪みの量が割とスムーズに変化するので微調整しやすいと思います。”Clarity”は前述の通り倍音感を増減します。もう一つのトーン系ノブ”Filter”はロー・パス・フィルター的な効きで、高域の鋭さを調整します。”Clarity”と”Filter”はどちらも高域に効くので、その役割を理解しないと操作に迷うかも知れません。私が色々音作りを試してみた上では”Gain”と”Clarity”で歪み量と音の明るさを設定し、”Filter”で硬さを調整するような操作がしっくり来ました。

操作性とはちょっと違うポイントかも知れませんが、このペダルのLEDはかなり明るいです。おそらく暗いステージ上での視認性はかなり良いと思いますが、近付くと結構眩しくて”Volume”や”Gain”の目盛りが見え難い場合もあります。個人的にはもう少し暗い方が嬉しいです。

9V / 18Vでの音質比較 [3:04~3:36]

このペダルは9V〜18Vでの駆動が可能です。公式説明でも電圧が音質に影響すると明記しているので、9Vと18Vで比較してみました。まず軽めにアルペジオを弾いた際には、9Vに比べ18Vの方が若干歪み感やコンプ感が少ないです。電圧が高い方がヘッドルームに余裕があり歪みにくく圧縮感も減少するという事でしょう。そしてストロークで掻き鳴らした際には、18Vの方が高域が出て明るい印象になります。エフェクター・ブックでの電圧比較実験とほぼ同じ感想を得ました。

Gain: 最大 [3:37~4:07]

“Gain”を最大にした設定です。ディストーション的な鋭さのある歪みですね。低域が割とすっきりしているので、深く歪ませてもタイトにまとまります。その為ザクザク刻むリフも軽いタッチで弾けます。

リード向け設定 [4:08~4:32]

“Gain”と”Clarity”を高めに、”Filter”を低めにしたリード向けの設定です。しっかりと歪み感がありサステインも十分ながら、複音の分離感やタッチのニュアンスも聴こえます。こんな感じの設定で常時オンにして、ギターのヴォリューム操作で歪み量をコントロールする使い方も良いでしょう。

感想まとめ

最初はトランスペアレント系かな?と思ったりもしたのですが、使い込んでいくうちに一般的なカテゴリーには当てはめにくいペダルだと思うようになりました。歪みやトーンの幅はヴァーサタイルとも言えるくらい広いのですが、常に独特の粗さやダークな空気感を纏っていて、それがこのペダルを個性的にしていると感じます。デザインから感じられる退廃的な質感やブティック・ブランドらしい匂いが音にも表れています。ちなみに私はこの”Clarity”の他にも“Sandy Drive II”(オーバードライブ)と“Stomach ache”(ベース/ギター用プリアンプ、今回の動画でベースに使用)を所有しており、いずれのペダルにもその共通した雰囲気を感じます。ブランドの世界観というか、一貫性がある所が好きですね。

前述したように”Clarity”ノブと”Filter”ノブの操作感が独特なので、それぞれの意図を自分なりに理解するまでは慣れが必要かと思いますが、把握出来れば実用的な仕様に感じられると思います。
ちなみに今回の動画を公開してすぐいまみちともたかさん(BARBEE BOYS)が興味を示してくれたので、試してみてもらおうとお貸ししたら即気に入ってもらえたようで、なんと届いた翌日から早速ライブで使う事になりました。つまりそれくらい即戦力になるペダルだという証です。

まずルックスにピンと来た方なら間違いないんじゃないかと思います。「そういう音」が出るペダルです。
是非このブランド独特の質感を味わって欲しいです。


デジマート|「1995fx」販売ページ

「1995fx」の検索ページへ

関連記事

Return to page top