KarDiaNのヴォリューム・ペダル「KND-LOW」レビュー

  • 2020-07-27 (月)

ヴォリューム・ペダルの奥深さを更に掘り下げたモデル

 KarDiaN(カージアン)からリリースされたヴォリューム・ペダル”KND-LOW”を紹介します。この製品は”Ernie Ball VP JR 25k #6181″の筐体を利用し厳選されたコンポーネントで再構成され、独自の”Curve Control”を搭載しています。

 今回も動画を制作しましたので、まずは是非ご覧ください。これまで私の動画の多くは楽曲を書き下ろしていたり比較的凝った作りになっていたりしたのですが、今回はかなりシンプルです。今後はこのようなシンプルな動画も制作していこうと考えています。

【Simple Review】KarDiaN “KND-LOW” Volume Pedal【Subbed | 字幕】

使用機材リスト
ギター
APⅡ MAF-8120GP
ギター・アンプ
Kemper Profiler :(使用モデル:Fender Deluxe Reverb)
併用エフェクター類
Klon KTR(オーバードライブ)
Benson Preamp(プリアンプ)
Noel Cornet(ファズ)
Ernie Ball VP JR 25k #6181(ヴォリューム・ペダル)
Chase Bliss Audio Tonal Recall RKM(アナログ・ディレイ)
Anasounds Element(スプリング・リヴァーブ)
ケーブル類
オヤイデ QAC-222G(ギター・ケーブル)
オヤイデ L6S6(パッチ・ケーブル)

ボリュームペダルをただ音量を変化させるだけの機材ではなく、変化を利用した新しい音楽を生み出すプロダクトにしたい。そんな思いから「KND-LOW」は誕生しました。ERNIE BALL社の堅牢な筐体を使用したこのボリュームペダルはプレイヤーに新たな演奏体験をプレゼントいたします。

まるで足の動きに吸い付く操作感は今までのボリュームペダルとは一線を画します。0位置からの素早い立ち上がり、そしてMAX付近での有機的な音量変化、これらをナチュラルにそしてリニアに行うことができます。また、前面に搭載した「CURVE CONTROL」ツマミによってユーザーの求める最適なボリュームカーブに調整することが可能です。そして、必然として音質にも徹底的にこだわりました。プロダクトアウトまで2年の歳月をかけたこのボリュームペダルは、プロトタイプの時点でさまざまな有名楽曲の制作、大ホールでの演奏を支えてきました。そして今もなお足元で支え続けています。

ギターのサウンドを司る音色や音程……それらに続く時間軸での音量変化もよるメイキング。これらを操る機材としてKarDiaNが新しいボリュームペダルを提案します

KarDiaN公式ページより

レビュー

 まずはこの”KND-LOW”に搭載された独自のノブ”Curve Control”に触れます。その名の通り音量が増減するカーヴを微調整するものです。左に回すと早い立ち上がりに、右に回すとゆっくりとした立ち上がりになります。ヴォリューム・ペダルは簡潔に言えば無音から最大音量までを可変するものですが、必ずしも直線的に変化するわけではありませんし、それが正解とも言い切れません。無音状態から聴こえ始めるまでの立ち上がりの早さや、中間から最大までの音量変化がいかに踏む動作と感覚的に連動しているか、などの点がペダルの個性となり個人の好みとなると思います。この”Curve Control”は正にその感覚的な要素を調整するツールと言えます。

 動画では、クリーン・トーンでの音量変化より後段に繋いだオーヴァードライヴの歪み感を調整する場面の方が、”Curve Control”の効き具合を感じ取りやすいかも知れません。ペダルをかかと側に倒すにつれ歪みが減り、クランチ〜クリーン〜無音と変化します。”Curve Control”を右に回していくとクリーンの領域が広くなっていくのが感じられます。つまり無音から最大の間でどの辺を重点的に調整したいのかという要望に応えるパラメーターなのです。

 ”KND-LOW”を、筐体の基となった”Ernie Ball VP JR 25k #6181″(以下”EB”)と比較してみましょう。まず最小から最大へのカーヴですが、”EB”では中間から最大付近で音量がグイっと上がるポイントがあります。実はこの特徴が個人的に気になる所でして、出来ればもっとなめらかに変化して欲しいと思っていたのです。一方”KND-LOW”のカーヴは非常になめらかに感じます。これこそ正に私が望んでいたものです。

 両者の違いは更に根本的な点にも表れています。それは音質。以前エフェクター・ブックの企画で”EB”を検証した時に感じたのが、高域が若干抑えられるという事。その時試したのはハイ・インピーダンス用で今回はロー・インピーダンス用なので厳密に言うと違う機種ですが、それでも同様の音質と感じます。高域が抑えられる事でやわらかい感触の音になるという効果もあるので決して欠点とも言えないのですが、それを望まない場合はどうでしょう。

 動画では”EB”に比べて”KND-LOW”の音域レンジが広いのが伝わると思います。高域が伸び、低域も重く、更には音量自体も少し大きく感じるくらいです。いかに原音を損ねない音質を保つか、それは特にパッシヴの回路では難しい所なのではと思いますが、”KND-LOW”はかなりこの点を突き詰めているであろう事がうかがわれます。

 動画の最後ではヴォリューム・スウェル(ヴォリューム奏法やヴァイオリン奏法とも言われる演奏法ですね)で演奏してみました。ここでのヴォリューム・ペダルの役割は、アタックを演出する事と言えます。音量を上下するだけのごくシンプルな操作ながら、それが音のニュアンスを形作る重要な要素である事に、改めて気付かされます。

 ヴォリューム・ペダルはある意味で通好みのアイテムです。音量操作は勿論ゲイン調整やニュアンス付けに使えますが、実際使いこなすのは慣れが必要ですし、単純だからこその奥深さも感じます。”KND-LOW”はその奥深さを更に掘り下げたペダルだと感じます。

 一般的なヴォリューム・ペダルの殆どが備えているチューナー・アウトが非搭載なのは意見が分かれる所と思います。チューナーへの回線用としては使えないわけですから、ペダルボードへ導入する際にはシステムを見直す必要があったり、または導入を見送る場合もあるでしょう。純粋に音量調整ツールとして使うしかない、という点では攻めたアイテムだと言えます。

 通向けのヴォリューム・ペダルがよりマニアックに進化(または深化?)した、というのが私の感想です。成熟したプレイヤーにはその奥深さがすぐ伝わるでしょうし、その完成度のおかげで寧ろヴォリューム・ペダル初心者にも使いやすいモデルに仕上がっていると思います。このひと味違う音質となめらかなヴォリューム・カーヴを是非体感して欲しいです。


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