オヤイデのソルダーレス・ケーブルでペダルボードを組んでみた

  • 2020-07-25 (土)

初めての試み?How To動画を制作

 今回は普段と少し趣の違う動画を制作しました。主に電線・電源周りの製品を取り扱うオーディオ業界で老舗のメーカー、オヤイデ電気が開発した「ソルダーレス・ケーブル」を紹介する動画です。

 この製品は、はんだ付けや他の器具を必要とせず簡単に自作できる楽器用ケーブルです。動画にはケーブルの解説や作り方、更にはペダルボードを組む様子を収録しました。こういう実践系の動画は中々作る機会がなかったので新鮮かつチャレンジングでした。演奏シーンは少ないですが実際にはこの動画の為に4曲作ったりと、音楽的にも色々と詰まった内容になっています。なお今回の動画ではもうひとつ初の試みとして字幕を付けてみました。動画プレイヤーの設定で見られるようになるので良かったら試してみてください。

 それでは是非お楽しみください!

【How to use】オヤイデのソルダーレス・ケーブルでペダルボードを組んでみた【Oyaide NEO Solderless Series】English subbed

使用機材リスト
ギター
APⅡ MAF-8120GP
ギター・アンプ
Kemper Profiler :(使用モデル:Fender Deluxe Reverb)
使用エフェクター類
Studio Daydream JCTBx2(ジャンクション・ボックス)
Klon KTR(オーバードライブ)
Benson Preamp(プリアンプ)
Proco Rat 1985 Black Face(ディストーション)
Noel Cornet(ファズ)
Ernie Ball VP JR 25k #6181(ヴォリューム・ペダル)
Boss TU-3S(チューナー)
FX Teacher Sliver(トレモロ)
Chase Bliss Audio Tonal Recall RKM(アナログ・ディレイ)
Anasounds Element(スプリング・リヴァーブ)
Free The Tone PT-3D(パワー・サプライ)
パッチケーブル
オヤイデ ソルダーレスキット L6S6
オヤイデ ソルダーレスキット L12
その他ケーブル
オヤイデ QAC-222G(ギター・ケーブル)
オヤイデ PA-02 TS(ライン・ケーブル)
DCケーブル
オヤイデ DC-3398 LL
電源タップ
オヤイデ OCB-1 AX
ペダルボード
Pedaltrain Classic 2 (カラフルなマジックテープは近日発売予定のHook Loop Love

活況を呈するソルダーレス市場。複雑なシステムが要求される現代のシーンが生んだ産物です。 だれでも簡単に、スピーディーに、そしてなによりもシステムに最適な長さでカスタムできる利便性。それらを理由にソルダーレスは瞬く間にカテゴリーとして確立されました。

しかし、その利便性と引き換えに、移動や挿抜などの振動から起こる断線・短絡といった場面も増えている点は見過ごせません。 トラブルでも早急に対応出来るソルダーレス。しかしながら、ソルダーレスが通常のケーブル同等の強度を持っていたら。そして音質すら妥協のないものであったら。 それこそが、本来プロフェッショナルの求める「ソルダーレスケーブルシステム」といえるでしょう。

NEO がリリースするソルダーレスケーブルシステム。それはただのソルダーレスケーブルシステムではありません。 見過され続けていた予期せぬ断線トラブル、細いケーブルを複雑なシステムに使用することによる音痩せ、工作の安易さによるクオリティーのばらつき、これらの諸問題を一気に解消することを目的として、”NEO Solderless Series” は開発されました。

オヤイデ電気ショップブログより

レビュー

 ソルダーレス・ケーブルの詳細については動画で解説したので、ここでは感想などを書きます。作り方の手順を観ていただければ分かる通り、かなり簡単に作れます。実は私、手先が不器用な方なのですが、それでも非常にスムーズに作る事が出来ました。このソルダーレス・ケーブルを初めて作ったのはエフェクター・ブックVol.47″スイッチャー特集”の動画でした。(詳細はこちら)動画で使うシステム用に計12本のケーブルを作りました。最初の2本くらいは導通に失敗して作り直したりしたのですが、コツを覚えてからは百発百中で失敗なく作れるようになりました。そのコツというのもただ一点、「ケーブルをしっかりプラグに挿す」このごくシンプルな事です。

 これまで私は何種類かソルダーレス・ケーブルを使ってきたのですが、それらと比べてオヤイデの製品は最も作りやすく失敗率も低いです。(←あくまで個人的感想ですが)せっかく作っても導通テストで失敗して作り直しとなると結構ストレスを感じたりするのですが、その問題から開放されるのは個人的にかなり嬉しいポイントです。むしろ作るのが楽しいくらいです。

 プラグの質感は高級感があります。見た目もそうなのですが、プラグをペダルに挿し込む時のカチッとした感触が格別です。プラグに適度な重さがあるからか、独特の安定感があるのです。動画のペダルボードを組む場面でも執拗なくらいプラグインする瞬間を入れているのですが、この感触は是非体感して欲しいです。ケーブルは適度なしなりで取り回しが良好です。

 プラグの持つ安定感は質実剛健な作りが表れたものとも言えそうです。容赦なく引っ張ったりしてみましたが全く緩む気配すら感じませんでした。ここまで頑丈なソルダーレスは無いんじゃないかと思います。

 音質は色付けを感じない素直な印象です。いくつかのパッチケーブルと聴き比べてみた所、ケーブルが短いせいかそれぞれの違いは僅差に感じたのですが、今回製作したペダルボードのようにエフェクターを直列で10台近く繋ぐ場合には音質の違いが如実に表れるでしょう。今回全てオヤイデ製で揃えてみると、低域の損失が少ないのか重心低めの太い音質が得られたように思います。


 さて、動画では触れていない点についても紹介しておきます。今回製作したペダルボードにはAnasounds製スプリング・リヴァーブ”Element”を載せています。(レビューはこちら)コントローラーであるペダル部とスプリングを内蔵したタンクをケーブルで繋ぐ仕組みになっています。一方のプラグがステレオ・ミニで他方がRCAになっているケーブルが製品に同梱されているのですが、それは汎用的な仕様といいますか、ハイグレードなものではないんですね。今回オヤイデの原田さんの提案でこのケーブルを特別に製作していただきました。ケーブルとRCAプラグはソルダーレス用、ステレオ・ミニ・プラグは通常のはんだ付けするタイプです。このケーブルに変えると、リヴァーブの解像度が上がりクリアな空気感が得られ、簡潔に言えばハイファイな音質になるというわかりやすい変化が感じられました。質感の高級感もあってとても気に入っています。

 今回製作したペダルボードの土台となったのは”Pedaltrain Classic 2″。そこにカラフルなベルクロ(マジックテープ)こちらもPedaltrain製”Hook Loop Love”を貼って使用しました。エフェクターへ電源供給するDCケーブルはオヤイデ製”DC-3398 LL”。このケーブルがまた音質向上に一役買うもので、電源由来のノイズが減って音抜けが良くなったように感じます。全てのケーブル類は結束バンドでまとめました。実は普段そこまではやらないんですが、今回はきれいに仕上げたいと思ってやってみました。信号の流れやグランドループを意識しながらやると合理的かつ見た目がすっきりしますし、音質や安心感も上がりますね。(ボード製作にあたってはFree The Tone林幸宏さん著「ギタリストとベーシストのためのシステム構築マニュアル」を参考にしました。)

 今回の動画での演奏シーンは最後のパートのみです。短いながらも各ペダルの音を確認出来るように作ってみました。Klon KTRのバッファーを常時オンにしているおかげもあり、直列ながら音質の損失を抑えたシステムに仕上がったと思います。ちなみに動画のBGMとして流れている音源のギターも全てこのペダルボードを使用しています。


 オヤイデのソルダーレス、私はとても気に入ったので普段使用するシステムのパッチ・ケーブルを全てこれに入れ替えました。作る失敗率の低さ・頑丈さ・見た目の質感といった点が決め手です。まだユーザーがそれほど多くないのが意外なくらい、お薦めの逸品です。格別の安心感が手に入ります。



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