Leqtique 9/9 レビュー

  • 2013-09-09 (月)

モダンなハイゲイン・ディストーション

エフェクター・ビルダーShun Nokina氏のブランドLeqtiqueから最近発売されたばかりのディストーション“9/9” (ナインナイン、またはキューキュー)。
正規発売前に数量限定で販売された先行モデル”Teal Transition”を入手しました。
ちょうどハイゲインなディストーションを探していた時に見つけたこのペダル。
今回はこの“9/9”をレビューします。

Leqtique 9/9 "Teal Transition"

※通常品と”Teal Transition”モデルとの差は塗装の色使いが異なる点のみです。

それではまず、“9/9”のコントロールについて説明します。

コントロール

9/9 Controls
9/9 Mid-Cut

Gain
歪み具合を調整します。
Volume
音量を調整。
Bottom
音像全体の太さをコントロール。
Treble
高域のエッジ感を調整。小さいノブです。
Mid-Cut
裏蓋を空けて調整する内部トリマー。中域の微調整、及び極端な中域カットも可能。

これらのコントロールを組み合わせて音作りするわけですが、それぞれの設定範囲が広く、かつ破綻しないバランスを保っているおかげで、「使える」ポイントが多いです。

「ウルトラ・ハイゲイン」を謳う通り、かなり深く歪みます。
“Gain”を最小にしても既に軽く歪んでます。
でもギターのボリュームを下げればクリーンに出来るくらい、反応性は高いです。
そしてディストーションとしての守備範囲はかなり広いです。

“Gain”の量によって歪みのキャラクターが何段階かに変わるように感じました。
最小ではオーバードライブ的、そこからだんだん派手さを増していき、12時以降は歪みの深さとともに音圧も上がっていくような感覚があります。
歪みの質は、粒が細かくて、歪んでいるのにどこかクリーンというかハイファイな印象があります。
高級オーディオ向けのハイエンドなパーツを使っているそうですが、それがこの質感に繋がっているのかも知れません。

“Volume”は音量大きめです。OFF時と同じ音量にしたいなら9時あたりが基本でしょうか。
上げていけば、ワイドレンジなブースターとしてかなり音圧を上げる使い方も出来ます。

“Bottom”は音の太さをコントロールするものですが、”Gain”も”Volume”も音の太さに影響してくるので、それぞれを連動させて調整するのが良いでしょう。
その中で”Bottom”の役割は、スピーカーの箱鳴りのような低域を調整するイメージです。
上げればかなりヘヴィに出来ますし、下げればタイト感が強調されて、すっきりと抜けの良い歪みを演出します。

“Treble”は12時を基本としてエッジ感を増減します。
下げるとエッジが丸くなり、ある意味広すぎるレンジ感が落ち着いてくるので、ヴィンテージ的な中域のまとまりが欲しい時は”Treble”を下げた方が使いやすいかも知れません。
逆に上げていくと、解像度の高さを強調するような、かなりエッジの効いた派手なトーンになります。

“Mid-Cut”は左側に回し切った状態が基本です。
3時あたりまでは緩やかな効き方で、アタックの固さを微調整する感じです。
そして3時以降は中域を急激にカットします。
「スクープ」や「Vカーブ」と言われるような「ドンシャリ」傾向のトーンになります。
これは「モダンかつハイゲイン」を志向するディストーション特有のコントロールと言えます。


電源は9V用に設計されていますが、9Vから18Vまでの駆動に対応しています。
18Vで使ってみた所、レンジ感が更に広くなり音にハリが増す印象を受けました。
9Vと18Vでは質感が結構変わりますので、キャラクターの違いを試してみるのも面白いでしょう。

Leqtique 9/9 Limited Edition

硬質で厚みのあるトーン・個性的なアタック感

全体的に硬質なトーンを持っているので、高速でザクザク刻むリフには特にもってこいですね。
そしてかなり厚みもあるので、単音のリードでも細さを感じません。
リズム/リード共に、実に「使える」トーンだと思います。

アタックの粒立ちがとにかく気持ちいいです。
設定を色々変えて弾いてみましたが、この心地良さは常に感じます。
色んな面で個性的なディストーションですが、個人的にはこのアタック感に最も特徴を感じました。

ハイゲインなディストーションはその特性上、極端に言うと「どんなギターを使っても似たような音になる」傾向があるように思いますが、
“9/9”は味付けこそ濃いものの、ギターの素のキャラクターはちゃんと残してくれます。
そしてタッチの強弱やボリュームの大小に対する反応性はアンプライクと言ってもいいでしょう。

「ナチュラル」な歪みではありません。かなり作り込まれたトーンですし、好みがはっきり分かれるかも知れません。
しかし無機的な冷たさはなく、完成度の高さを感じさせます。
「太さと温かみを持ちながらも極めてソリッドかつタイトなサウンド」と説明書に書いてある通り、相反する要素を現代的なアプローチで共存させた、正にモダンなディストーションと言えるでしょう。

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