【歪みペダル2機種レビュー+動画】Noel | Voile & Victoire

  • 2018-03-23 (金)

「ANTIQUE and MODERN」を体現する歪み2機種

国産ハンドメイド・ブランド「Noel」の2機種をレビューします。
赤い方が「Volie」(ヴォワール)、紫が「Victoire」(ヴィクトワール)と、どちらもフランス語のモデル名が付けられています。
CMOSを使った基本設計は共通ながら、それぞれ異なる2つのキャラクターに仕上げたという事です。正に姉妹機種ですね。
Voileがオーバードライブらしさを意識したソフトなトーン、Victoireはよりゲインが高くディストーション的で鋭いトーン、と位置づけられています。

今回もデモ動画を制作しました。同じフォーマットを流用したので、それぞれの類似点や相違点を感じていただけたらと思います。
まずは是非ご覧ください。

Noel | Voile [ヴォワール] Overdrive/Distortion

Noel | Victoire [ヴィクトワール] Overdrive/Distortion

Credit
Music / Movie / Cast
Jake Cloudchair
Thanks to
Fujigen
荒井貿易
Comawhite Custom Cable

使用機材リスト
ギター
FGN (Fujigen) NST200
FGN Expert Flame (with DeMont PU)
FGN Expert ODYSSEY
ギター・アンプ
Kemper Profiler :(使用モデル:Fender Twin Reverb & Shure SM57)

それでは動画での設定を解説します。
1台ずつ、まずはVoileから行きましょう。

Voile

Basic Setting for Single Coil

まずはシングルコイルに合わせ、ゲインを少し上げ目にした設定です。
低域が豊かな太いオーバードライブ・トーンです。歪みの粒は粗めでヴィンテージ的な志向を感じさせます。それでいて音の分離が非常に良くクリアに聴こえるのがモダンと言えるでしょう。コンプ感の少なさやノイズ・レベルの低さのおかげで解像度が高く感じます。この辺りは設計・作りの丁寧さが表れているような気がします。

Basic Setting for Humbucker

次にレスポール・タイプのギターに合わせてみました。ギターの持つ音色の太さをそのまま増幅したようなファットなトーンです。アタックのエッジ感に丸みがあり、粘りを感じさせる歪みです。右手のニュアンスも良く出ています。

Sound Check

各ノブを動かしながら可変幅を探りました。
ゲインを絞り切るとクリーンになります。ファットなトーンのブースターとして、またジャズに合いそうなメロウなトーンも作れます。ゲインは比較的抑えめで、これ単体で歪ませるなら12時方向より右側に設定するのが良いでしょう。トーンは高域成分を調整する感じです。開き切っても低域が残るので、常に太さを感じさせます。

Clean to Drive

ここではギター・ボリュームへの反応性をチェックしました。
まずギターのボリュームを「7」にすると、ほぼ完全なクリーン・トーンになります。高域が抑えめのメロウなトーンですね。音の芯をしっかり保った、使えるクリーンだと思います。ボリュームを上げれば飽和感のある歪みになります。かなり高い反応性を持っています。

Hi Gain Rhythm

Voileの豊かな低域を活かしてダウン・チューニングのギターを合わせてみました。全体を半音下げ更に6弦を1音下げた、ドロップC#チューニングです。
Voileのゲインとトーンは最大にしました。低域の密度が濃く、特にストーナー・ロックに合いそうな重いトーンです。重低音は出ますがモダン・ハイゲイン系のようなメタリック感はなく、歪みの粒が粗いヴィンテージ的な質感です。

Hi Gain Lead

再びノーマル・チューニングのギターで、ゲイン最大でリードを弾きました。
強く歪んでいますが音が潰れ過ぎず解像度を保っているように感じます。コンプ感が少なめで生々しい歪みとも言えますね。弾き手のニュアンスを存分に増幅してくれます。ただこうした特性を持つペダルの宿命ですが、ごまかしが効かないという問題(?)はあります。しっかり弾かせてくれるペダルと言う事も出来るでしょう。


Victoire

続いてはVictoireの解説です。

Basic Setting for Single Coil

全てのノブを12時にした設定です。Voileに比べてゲインが高く飽和感が強いです。Victoireも歪みの粒が粗めなのは同様ですが、Voileより更に中身が詰まったような密度の高いトーンです。こちらの方が高域が伸びて重心は高くなっています。カッティングでは鋭さを感じます。

Basic Setting for Humbucker

続いてはハムバッカーとの組み合わせです。ざらついた質感があるので、実際はそれほど歪んではいないのに激しく歪んでいるような印象を受けます。Voileがオーバードライブ的な粘りを感じさせるある意味ウェットなトーンだったのに対し、Victoireはファズやディストーションに通ずるドライなトーンだと感じました。

Sound Check

ノブを動かしながらのチェックです。
ゲインを絞り切ってもクリーンにはならず、クランチ程度に設定されています。歪みの可変幅はVoileより狭めで、基本的にどの位置でもキャラクターを保持する歪み具合となっています。トーンはVoile同様の効き方ですが全体的に高域寄りになっています。

Clean to Drive

ギター・ボリュームへの反応性チェックです。Voileよりゲインが高いので、ここではギター・ボリュームを「5」まで下げました。若干チリチリした歪み感は残っていますがほぼクリーンと言えます。ボリュームを上げた時にはファズに近い飽和感が得られますが、ディストーション的な歯切れの良さも併せ持っています。Victoireも反応性の高いペダルです。

Hi Gain Rhythm

ドロップC#チューニングのギターを使い、Victoireのトーンとゲインを最大にしました。重厚で濃密なファズ寄りのディストーションです。Voileより中域がすっきりして高域も出ているのですが、むしろ音圧はこちらの方が高く感じるかも知れません。それは例えばスタック・アンプ的な空気感であったり、ギター・トラックを複数重ねたような厚みです。ビッグ・マフ的な倍音感もありますね。

Hi Gain Lead

ゲイン最大で、ノーマル・チューニングのギターを使ったリードです。ファズに近い図太さは持っていますが、アタックの立ち上がりが鋭いのがファズとの大きな違いだと思います。速いピッキングにもしっかり食いついてきます。むしろしっかり弾かないとアラが出るので、Voile同様にごまかしが効かないという面があります。しかしとにかく単純にテンションが上がる歪みです。最後のベンドでは思わず足が上がってしまいました。


総評

各モデルの違いについては上記解説をご参照いただくとして、ここからは両モデルに共通する感想です。
筐体は一般的なMXRサイズですが、亜鉛製の重い素材でずっしりとした重厚感があります。筐体の材質や質量はある程度音に影響すると私は感じていますが、実際この手にとった時の重みが音にも表れているように思います。

Noel製品ではCornetRevu、そしてπをこれまで弾いてきましたが、どれも低域が充実したペダルでした。(各製品名はそれぞれのレビュー記事へリンクしています)
今回のVシリーズ2機種にも、これまで同様に低域の豊かさを感じます。そしてどの製品にも感じるのは、重心が低いだけでなく安定感やどことなく品性を感じさせる点です。この感覚は、作りの丁寧さから来るのかも知れないなあと思ったりします。
低域に関する事で付け加えれば、今回の両モデルに共通の「箱鳴り感」を感じました。主に低域の豊かさに起因するものでしょう。ゲインを上げた状態は勿論、下げて歪みを少なくした際にも、まるでキャビネットがひと回り大きくなったかのようなボトムを感じます。特にVoileは、音の太さが欲しい時には如実に効くアイテムだと思います。

ひとつ特別な仕様としてノブのポットがあります。非常に細かい数十段のクリックが付いており、「カチカチカチ…」と段階的に回るようになっています。動画の前半でその動きを一瞬クローズアップしたのですが分かるでしょうか?例えるなら金庫のダイアルのような動きで、エフェクターではまず体験した事のない感触でした。ノブがある程度固定されるので安定性が高い・設定を再現しやすいというメリットがあります。この感触は是非触って確かめてみて欲しいですね。

姉妹機種という事で共通点もありますが、弾き比べるとキャラクターの違いがよく分かります。簡潔に言えば赤いVoileはファットなオーバードライブ、紫のVictoireは荒々しいディストーション。そしてどちらのペダルも、粒が粗めの歪みとクリアな輪郭という相反する要素を併せ持っているように感じました。「ANTIQUE and MODERN」というブランド・テーマを体現するような仕上がりです。是非楽器店でお試しください。


Noel製品販売リンク | デジマート

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