【動画+レビューx2】One Control Rebel Red Distortion / Raspberry Booster

  • 2017-06-27 (火)

太いサウンドを持つディストーションとブースター

One Controlの新製品2機種Rebel Red Distortion(以下RRD)とRaspberry Booster(以下RBB)を紹介します。
それぞれのデモ動画を制作しましたので、まずはご覧くださいませ。

One Control | Rebel Red Distortion [Designed by BJF]

One Control | Raspberry Booster [Designed by BJF]

Credit
Music / Movie / Cast
Jake Cloudchair
Thanks to
Fujigen
OKADA International Inc.
荒井貿易
Comawhite Custom Cable
Garret Works

使用機材リスト
ギター
Fujigen NST200
Fujigen Expert ODYSSEY
ギター・アンプ
Koch Studiotone 40XL Head
ベース
FGN NJB200, One Control Sonic Silver Peg & Lemon Yellow Compressor

Rebel Red Distortion 解説

BJFE Dyna Red Dist.というペダルがあります。2001年に発売されたこのペダルはクランチ的なローゲインからヘヴィでザクザクとした音色までを作ることのできるミドルゲインのディストーションペダルです。ただ幅広く音を作ることができるだけではなく、特に大音量で音を出したときの、心揺さぶられるようなサウンドは世界的に人気となり、伝説的なディストーションペダルの1つとして知られています。

One Control Rebel Red Distortionは、BJFの制作した名機、Dyna Red Dist.のカスタムバージョンです。
もともとはブライトなアンプとブリッジポジションのシングルコイルに合わせてカスタムされたRebel Red Distortionのサウンドは、オリジナルモデルの持つ絶妙な音色特性を維持しながら、さらに現代的で分厚いサウンドへと進化を遂げていました。

BJFのファンであれば、Rebel Red Distortionの音を出した瞬間ニヤリとすることでしょう。独特のダークさを持つヨーロピアンテイストなサウンド。しかし、ダークなのに埋もれない、クリアで存在感すらある音は、まさにBJFマジック。分厚く、ギターのエネルギーが爆発するようなサウンドです。

ハムバッカーピックアップをはじめとする高出力なピックアップを使用し、レガートを多用するような現代的なハイゲインシーンにも最適。ロー~ミッドを中心とした音色は特にリードトーンに最適です。また、ミュートを駆使した刻みやよりローダウン、多弦ギターによるDjentなトーンにも勢いをつけます。
シングルコイルピックアップのギターなら、スタンダードなロックサウンドをいとも簡単に作り出します。まるでハムバッカーのようなパワーと迫力を作り出します。

Rebel Red Distortionも、Dyna Red Dist.同様、特に大音量でその本領を発揮します。さらにギター側のVolumeコントロールで自在にゲインのコントロールができることも、Rebel Red Distortionの大きな特徴です。
有機的で感情的。どこまでも表現力を求める歪み。それこそ“音楽的”なペダルではないでしょうか。


Rebel Red Distortion(RRD)は、もともとブライトなヴィンテージアメリカンアンプでロックサウンドを作るためのディストーションだ。ブライトなアンプでも十分なパワーを発揮するため、通常はカットする400Hz付近のローミッドをフィルタリングしていない。
ダイナミクスレンジも広いので、手元で歪みをコントロールできるだろう。超ハイゲインなペダルではないが、シングルコイルでもロックサウンドが得られ、ハムバッカーならモダンなトーンを作ることができる。
───Bjorn Juhl

それでは動画での設定を解説します。

Basic Setting [0:00〜0:54]

まずは全てのノブを12時方向にした設定です。
コードが心地良く鳴る、太くあたたかみのある歪みです。重心が低くなり、よくBJFE関連ペダルで言われるダークな響きを感じます。
公式説明にある通り、シングルコイルでも太いトーンを得られます。ハムバッカーだと更に中低域が張りだしてファットな音色です。

Crunch Setting [0:55〜1:24]

ローゲインでTrebleを少し絞ったクランチ設定です。
前述のダークな質感をより強く感じられると思います。
湿り気を帯びつつ芯がクリアなトーンはやはりBJFテイストを持っています。

Controls [1:25〜1:46]

設定を変えながら弾き比べてみました。ここではハムバッカーを使用しています。
まずはペダルをオフにした状態から基本設定へ。ディストーションらしく音色が派手に変わります。
次にTrebleとDistをそれぞれ最小と最大にしました。
可変幅は実用的な設定だと思います。どの設定でも基本的なペダルのキャラクターは変わらない印象です。

Fat Drive [1:47〜2:16]

Trebleを絞り切った設定です。
シングルコイルでも太さを感じさせる分厚いトーンです。
強く弾けばファズ的な粒の粗い歪みに、弱く弾けばアタックが抑えられたスムーズなトーンになります。
深めに歪ませてもピッキングのダイナミクスに反応する事がわかります。

Hot Distortion [2:17〜2:45]

Distを最大にした設定です。
このパートではまずギターのボリュームを3にして弾いています。僅かに荒さが残ったクリーン・トーンです。
そしてボリュームを上げると自然に歪みが増していきます。
シングルコイルでも細さを感じさせないパワフルな歪みが得られます。歪みが最大でもナチュラルな質感を保っています。
その反面、このペダル単体ではメタリックな響きやタイトな低域などのモダンなトーンに仕上げるのは難しいかも知れません。

with Raspberry Booster [2:46〜]

モダンなトーンに近付けるべく、RBBを前段に置いてブーストしてみました。
RDDはファットなトーンを持っていますが、その分ザクザクしたエッジ感は弱いです。
しかしRBBでブーストさせる事で質感が変化します。ディストーションらしくエッジが鋭くなり、低域もタイトになってパーム・ミュートのキレが良くなります。
リードも伸びやかに弾けますし、相性の良い組み合わせだと思います。


Raspberry Booster 解説

Raspberry BoosterにはGainとMasterノブがあります。Gainを上げていくと、ブースト時のコンプレッションが高くなり、最大では歪みとクリーンの中間的なトーンにまで達します。そしてMasterノブはボリュームブーストだけでなくボリュームカットも可能です。
Raspberry BoosterはGainとMasterノブを調整することで、思い通りの音量で必要なゲインアップが可能となるのです。

そして、Raspberry Booster最大の特徴は、Zノブです。このノブはインプットインピーダンスを9.8Kから319Kまでの範囲でコントロールします。
Zノブが音にどのような影響をどの程度与えるのか。それは搭載するピックアップの特性によっても変わります。このノブを動かすと、主にトップエンドの出方が変わります。多くのトーンコントロールのように、単に高域をカットするのではなく、トップエンドを中心に、音色全体の質感を変えることができます。
最小に設定すればソリッドボディのシングルコイルがふくよかなセミアコのハムバッカーのように柔らかく暖かになります。
そこからノブを動かしていくと、トップエンドがくっきりと変わり、トーン全体の解像度も高くなります。
また、ゲインブースト時にギターのVolumeノブを操作した際の音色の動きにも影響を与えます。これは音色はもちろん、ギタープレイの操作性を高めることになります。
ギタープレイで慣れた操作をするだけで思った通りの音が出る、これほど心地よいことはありません。その微調整をZノブで行えるのです。

Raspberry Boosterは、ペダルボードの先頭に設置して使うことを想定して作られています。特にZノブの効果は、ペダルの前にバッファ等を通すと全く違うものとなります。


Raspberry Booster(RBB)は、オールドスクールなチューブアンプをオーバードライブさせる古い時代のペダルとして特別に設計したブースターだ。リズムサウンドを作り、RBBを踏めばリードサウンドになる。まさにオールドスクールなロックサウンドへのチケットとなるだろう。
───Bjorn Juhl

Boost Drive [0:00〜0:54]

まずはGainを上げ目にした設定。クリーンに設定したチューブ・アンプを自然にドライブさせます。
若干のコンプレッション感があり、また低域が締まって中域が押し出されるような印象を受けます。
公式説明にある「ノスタルジックなブースター」が具体的にどのエフェクターを指すのかは不明ですが、例えば80年代前半にマーシャルをOD-1やTS808でブーストしていたような感覚なのかなと思いました。

Controls [0:54〜1:16]

設定を変えながらの弾き比べです。ピックアップはハムバッカーを使用しました。
まずはペダルをオフにした状態から全てのノブを12時にした設定へ。軽めのオーバードライブ的に歪んでいます。
Zノブはインピーダンスを可変するコントロールで、同じくBjorn Juhl設計のMad Professor Sky Blue Overdriveにも採用されていたものです。
実際の効果としては音の柔らかさ/硬さを調整する感じで、特に絞り切った際にはかなりウォームな質感になります。
Gain幅は広めだと思います。最大にすると音量も結構上がるのでMasterノブを一緒に調整するのが良いでしょう。

Fat Boost [1:17〜1:46]

Zノブを最小にした設定です。まずはペダルをオフにした状態で弾き、途中でオンにしています。
公式説明にもあるように、シングルコイルの音がハムバッカーのようにふくよかに変化します。
One Control製ミッド・ブースターPurple Humper (レビュー) にもそのような効果を感じましたが、こちらはもっと如実に変化が表れます。
極端に言うとギターのボディがソリッドからフルアコへ、また弦がフラットワウンドへ変わったような効果です。

with Persian Green Screamer [1:47〜2:16]

TS系オーバードライブPersian Green Screamer (以下PGSレビュー)をブーストしてみました。
まずPGSのみで弾き、その後前段に置いたRBBをオンにしています。後半ではピックアップをネックからブリッジに切り換えました。
TSらしい丸みのあるトーンにエッジ感が加わりゲインも増します。特に巻き弦のギラついた質感が強調されます。
所謂テキサス系のブルージーなドライブ・サウンドに向いているのではないでしょうか。

Hot Boost [2:17〜2:46]

Gainを最大にした設定です。まずギターのボリュームを7に下げています。ここまでGainを上げてもクリーン・トーンになります。
ボリュームを上げると、クリーンに設定したアンプを自然にドライブさせます。

with Purple Plexifier [2:47〜]

マーシャル系ペダルPurple Plexifier (以下PPレビュー) と組み合わせてみました。
ここでもRBBを前段に繋ぎ、途中からオンにしています。
PPは中低域が豊かで太いトーンを持っていますが、RBBでブーストするとよりモダンでハイゲイン仕様のアンプになったような変化を感じます。
エッジ感が際立ち、コンプ感も相まって音が前面に出てきます。


総評

どちらもギターの歪みの美味しい所を絶妙に増幅する、正統派といえるペダルだと感じました。
方向性としてはどちらもオールドスクールで、キャラクターというか役割がはっきりしていると思います。

RRDはどの設定でも太いトーンだったので今回のデモではギターは全てブリッジ・ピックアップのみを使用しました。
ネック・ピックアップだとブーミー過ぎて、個人的には扱いづらい印象を受けたので今回は使っていません。
この辺は好みの問題やアンプとの相性もあるので、実際に試してもらえればと思います。

RBBの特徴はやはりZノブで、実際かなり効果を感じます。ここでひとつ注意点を。
このペダルは公式説明にある通り、ペダルボードの先頭に設置する前提になっています。
実はデモ制作時にRBBの前にルーパーを繋いでフレーズを再生しながらZノブを動かしてみたのですが、全くと言っていい程変化が感じられませんでした。
「Zノブの効果は、ペダルの前にバッファ等を通すと全く違う」という事です。
このペダルの性能を活かすなら、お使いのシステムとの相性なども検討した方が良いでしょう。

どちらもBJFらしい音色を持ったペダルです。
デモの音が気になった方は是非お試しを。


One Control Rebel Red Distortion | ナインボルト

One Control Golden Raspberry Booster | ナインボルト

関連記事

Return to page top