Sunfish Audio “Lycoris”レビュー【Klonケンタウルス発展系OD】

  • 2020-08-06 (木)

ハリのあるトーンと高い反応性、そして直感的な操作感

 Sunfish Audioのオーバードライブ「Lycoris」を紹介します。「伝説的な半人半馬を模したペダルにインスパイアされた」との事ですね。エフェクターブックVol.48の”現行ケンタウルス系ドライヴ”でも取り上げられていたモデルです。

 今回もシンプルな動画を作りましたので、まずはこちらで音を確かめてみてください。

【Simple Review】Sunfish Audio “Lycoris” Overdrive【Subbed | 字幕】

使用機材
ギター
APⅡ MAF-8120GP
ギター・アンプ
Kemper Profiler :(使用モデル:Fender Deluxe Reverb)

Lycorisは伝説的な半人半馬を模したペダルにインスパイアされた歪です。
広いヘッドルームや、歪にクリーンシグナルを加えたオーガニックなサウンドはそのままに、よりモダンなトーンを目指し開発されました。
歪を作り出すクリッピング素子にはシリコン、ゲルマニウムの二種類のダイオードを使用しています。ローゲイン~ミディアムゲイン時は主にゲルマニウムダイオードで歪を作り、ハイゲイン時にはシリコンダイオードを加え二段階のクリッピング行っています。
これにより、ナチュラルで広いダイナミクスを実現しました。
バイパス時にはバッファーを通過します。

Lycorisは二段階のゲイン切り替えスイッチを持っています。ゲインコントロールは歪の調整とクリーンシグナルのミックスを同時に行っていますが、
ローゲインのセッティングではハイゲインセッティングに比べ、多くのクリーンシグナルをミックスしており、アンプや後段のペダルのブースト、軽いクランチを得意としています。
ハイゲインセッティングは、単体で軽いディストーション程度の歪量を持っており、よりコンプレッションを伴った歪を作ることが可能です。中域~高域の質感が低域でマスクされないよう、歪回路に入る前の段階で低域を少しカットしています

Sunfish Audio公式ページより

レビュー

 まずは外観について。この正方形の筐体はありそうでなかなか珍しいと思います。小さめのノブが4つ1列に並んだレイアウト、見た目のバランスを損わないミニ・スイッチ、そして白字に鮮やかな彼岸花のグラフィック。奇を衒わず、それでいてユニークなデザインが素敵です。ノブの形状やトルクの重さが微調整しやすい仕様になっていて好感触です。

 それでは音について解説していきましょう。「単純にケンタウルス系とは言い切れないペダルだな」というのが第一印象でした。クリーン・ミックスによる芯の太さや昇圧による音の張り、その点では共通性を感じるものの、もっと用途の幅が広く独自の個性を持っているペダルだと思います。

 歪みは比較的硬質で粒が少し粗めに感じます。”Gain”を上げていくと歪み量が増えていくと共に、倍音が際立って感じられる様になります。コンプレッションは控えめで、TS系とトランスペアレント系の中間という印象を受けました。ロー・ゲイン・モードで”Gain”を動かすと、最小から12時方向までの間で独特な変化を見せます。クリーン・トーンから一旦太いサウンドになり、その後歪みが増えつつ低域がすっきりしていくのです。クリーン・ミックスのバランスが変化していくのでしょうか、複雑なカーヴを感じます。

 タッチへの反応性がとても高いのも特徴的です。ゲイン高めの設定にしてもピッキングの強弱が素直に反映されます。強めのストロークをすればジャキッとしたアタックが得られ、軽くアルペジオを弾けば分離感の高いトーンになります。リードを弾く際には繊細なニュアンスも余すことなく表現出来るでしょう。ただし反応が良いという事はごまかしが効かないという事でもあります。特に単体で使うと演奏のアラが見えやすいかも知れません。その場合は他のペダルと組み合わせてみても良いでしょう。

 ミニ・スイッチはゲインをハイ/ローの2段階に切り換えます。ロー・ポジションではクリーン・ブーストから軽めのオーバードライブという歪み具合で、クリーン・ミックスの量が多く原音の芯を感じられるトーンを持っています。一方ハイ・ポジションではよりオーバードライブらしく歪みの量が増え、ゲイン最大付近ではディストーション的な領域まで歪みます。どちらのポジションにするかにより、歪み具合が同程度だったとしても音のキャラクターが若干変わるので、好みに応じて設定を選べる仕様と言えます。

 ”Treble”と”Bass”の2バンドEQは幅広く効きが良いです。”Treble”で硬さ、”Bass”で重さを調整する感じです。わかりやすくトーンの質感が変わるので直感的に使えると思います。両方を絞ったスムーズなトーン、逆にどちらも上げた派手なトーン、どちらも違和感なく実用的に感じました。


 音の芯が潰れない歪み方、反応性の高さ、EQの効きの良さ、そして目を惹くデザイン。人気の高さもうなずける機種だと思います。今回の動画の音が気になった方は是非お試しを。


デジマート|「Sunfish Audio “Lycoris”」販売ページ

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