ふわーん – DL音源制作記#3

綿毛

〜前回からの続き〜

ギターのみの作品を作る。

と言いながらも、ギターらしからぬ音を重ねていく事もしばしばであった。
ある時、ふわーんとした音が欲しくなった。
所謂パッド系または白玉系と呼ばれる、アタック感の無いソフトな音色で、大抵はシンセサイザーで鳴らすものである。
ギターの場合、どんなに優しく弾いても、ぽーん、という感じの音になる。
その、ぽーん、を、ふわーん、に変える為にどうするかというと、
まずギターのヴォリュームを0にしておき、弦を弾いた後にヴォリュームを少しずつ上げていくことで、アタック感を消すのである。
さらに、よりふんわりさせたい場合はどうするかというと、同じフレーズを重ねて録音していくのだが、
微妙にタイミング・音量・気合などをずらして重ねていくことで、より揺らぎが生まれてふわーんとしてくるのである。
今回は、3回重ねるといい感じになった。

さらに、和音つまりドミソで鳴らしたい場合は、ド・ミ・ソをそれぞれ別に録音すると、よりきれいな響きになる。
ので、どうするかというと、ド・ミ・ソを3回ずつ重ねて録っていくので、全部で9回弾くことになる。

で、9回弾いてやっとふわーんとしてきたのだが、ちょいとひと休みした後に聴き返してみたらば、
ふわーん、というよりは、ぶわーん、という感じに聴こえたのである。
「音色選びを間違ったか……」
しかしやっぱり、ぶわーん、より、ふわーん、が欲しかったので、どうするかというと、
音色を作り直してまた9回弾くのである。

で、また9回弾いて今度こそふわーんとしてきたのだが、ちょいとひと眠りした後に聴き返してみたらば、
主旋律を邪魔しているように聴こえる箇所があったのである。
「アレンジを欲張ったか……」
やっぱりすっきりとさせたいので、どうするかというと、
アレンジをシンプルにしてまたまた9回弾くのである。

てなわけで、計27回弾いてやっと欲しい感じになった。
さらに、ぷわーん、という音まで欲しくなってしまったので、そのために8回重ね、加えてそれとは別に1本録ったので、
私は、ふわーん、及びぷわーん、という感じを得る為に合計36回弾くことになったのだった。

しかし、このふわーんは、あくまで主旋律の背景に過ぎない。
36回弾いてやっと「空気感が増したね」ってくらいのもんである。
で、私がなんでそこまで手間のかかる事をするかというと、
「それが楽しいから」です!!

~つづく~

DL音源 (Echoes And Whispers) 制作記

試聴・購入はこちら

iTunes (1曲のみ)
https://itunes.apple.com/jp/album/shirakava-echo-single/id577334353


Return to page top